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東京慈恵会医科大学 様
総合医科学研究センター 高次元医用画像工学研究所
関連情報
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SGI Onyx 3000
医用バーチャルリアリティによる医学・工学の連係体制。
SGI のハイパフォーマンスグラフィックスシステムが、新しい治療法の開発を支援する。


東京慈恵会医科大学 教授
高次元医用画像工学研究所
所長 鈴木 直樹 氏
平成13年度の文部科学省ハイテクリサーチセンター整備事業の研究助成を受け、高次元医用画像工学研究所に、医用VR実験室と四次元動作計測室の2つの研究施設が建設された。今回、新たに構築されたシステムは、SGI の業界最先端グラフィックスシステムOnyx(R) 3400を基盤としている。
三次元画像から時間軸を含む四次元の画像へ
高次元医用画像工学研究所は、東京慈恵会医科大学において、DNA研究所、臨床医学研究所とともに学内の総合医科学研究センターの傘下に位置する3つの研究所の1つである。1998年に創設された同研究所は、生体の画像情報を活用して、新しい医用技術を開発することを主目的とする研究所である。医用画像情報の高次元(三次元、四次元)化は、バーチャルリアリティ(VR)技術と結合することにより、診断のみならず全く新しい治療技術を生み出すことができる。高次元医用画像工学研究所では、本来三次元構造である人間の身体をCTやMRIデータをもとに精密な三次元画像として捉え、人体の動作や機能までをリアルタイムに追従できる医用四次元画像技術の開発と臨床の現場への応用を行っている。医師の肉眼の能力を超えて、内部を見ながら手術を行うことのできるdata fusion技術。また、実際の患者の手術の前に、仮想空間で最適な手術法を見つけだすためのvirtual surgery技術などの研究が行われている。研究所スタッフは、医用バーチャルリアリティ、四次元イメージング、高次元データベース、ロボット手術の四つの研究チームに分かれ、それぞれの研究開発に取り組んでいる。こうしたなか、文部科学省のハイテクリサーチ整備事業により、研究所内に医用VR実験室と四次元動作計測室が新設された。
キーワードはリアルタイム・イメージング
複雑な人間の身体を現代医療ではどう捉えているのだろうか。医用画像について高次元医用画像工学研究所の鈴木所長に伺った。
「医用画像は現在でも極めて広く活用されていて、診断体系の根幹を形成しています。我々は、それをさらに高度化することによって治療面においても画期的な変革が可能になると考えています」
患者の身体から無侵襲的に得た形態情報をもとにスーパーコンピュータを用いて三次元構造である人間の形に戻していく。直感的な判断が可能になる人間の形、臓器の形、血管の形に戻していくことで、さまざまな医療分野で応用可能となる新しい情報が得られると期待されている。

高次元医用画像工学研究所の掲げるコンセプトはリアルタイム・イメージングである。
「医学・工学の連係が生みだす高次元医用画像、医用VR技術をできるだけ早く医療現場に持っていきたいと切望しています。そのなかでキーワードとなるのがリアルタイム・イメージングです。人間の身体は非常に複雑で静止しているところはなく常に時間とともに動いています。そのため我々はできるだけ速くモデル変形などの演算を行って、その結果を表示できるコンピュータがどうしても必要となりました。これがSGI のハイパフォーマンスグラフィックスシステムOnyxを採用した理由です」
高次元医用画像工学研究所では、可視化の能力と同時に大規模データのリアルタイム演算とリアルタイム表示を前提としており、SGI を選択した事はごく自然なものだったといっても過言ではない。

『視覚・触覚連動コックピット』を装備した医用VR実験
医用VR実験室には、ハイパフォーマンスグラフィックスシステムと連動した『高精細大型曲面ディスプレイ装置』、触覚を得るためのforce feedback(力覚提示)を装備した『視覚・触覚連動コックピット』が設備され、本格的なvirtual surgery(手術シミュレーション)、tele-surgery(遠隔手術)の実現をめざしている。これまではヘッドマウントディスプレイ(HMD)などの装置が実験的に用いられてきたが、実際の術場環境と同じ視覚情報を得ることはできなかった。今回、これらの問題を解決し、できるだけ自然な環境下で術者の視野の全体に高解像度の画像を提示することのできるVRシステムの構築を行った。『高精細大型曲面ディスプレイ装置』としては、ステレオ表示も可能な「三管式のリアプロジェクション大型曲面スクリーン」を開発。術者の視野全体をカバーすることができる。また、スクリーンの仰角を0〜45°まで変化させることができるだけでなく、『視覚・触覚連動コックピット』の術者を乗せたステージは上下、前後に移動でき、開腹手術の場合であっても実際の術場と同様の目線と両手の位置が実現できる。

鈴木所長にvirtual surgeryについてお聞きした。
「骨格を除く人間の身体は、筋肉、内臓といった柔らかい物質でできています。より実際に近い手術シミュレーションを行うためには、指で押せばへこみ、手に取れば形を変える臓器の構造をリアルタイム・イメージングにより再現しなければなりません。術者にとって、触覚は手術作業を正確に行うためにどうしても必要な感覚です。画像上の柔らかいものを柔らかいものとして感じる触覚を術者に伝えるため、両手用のforce feedback装置を『視覚・触覚連動コックピット』に装備しました」
患者の臓器の状態をMRI やCTのデータから変形モデルとして生成しておくことにより、『視覚・触覚連動コックピット』に乗った術者は、仮想空間のなかで患者ごとの特徴をもった臓器や血管にさわり、切開することが可能となるのである。


(C) IHDMI ,Jikei Univ.2002
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時空を超える動作を記録する四次元動作計測室
四次元動作計測室は、時間的にも空間的にも自由な状態で人間の動作を記録することを目的として建設された。この部屋には『DSVC (Dynamic Spatial Video Camera):人体動作四次元撮像システム』が開発され、設置された。この装置により、移動する人体の時空間的な観察と定量的な解析が行える。6台の高速赤外線TVカメラによる体表面マーカー計測システムに加え、DSVCには自走式のリング状のアームに60台のデジタルビデオカメラが設置され、撮影された各カメラの画像はコンピュータ内で時空間マトリックスに変換される。

「我々がやりたかったのは人間の動体そのものを時空間的に拘束されることなく、どこまでも自由に高精度に捉えた四次元モデルの作成です」
この手法は、一種のview-independent scene acquisition法ではあるが、従来の手法に比べ、医学的に用いることのできるだけの高い精度をもつ計測を可能としている。

身体構造と機能の相互連係メカニズムを解明
DSVCで記録された動作の四次元画像での表示について鈴木所長に語っていただいた。
「この手法により、時間を止め、空中に静止した被験者の様子をいろいろな方向から見ることも可能です。さらに、被験者の体内構造の四次元画像と結合することにより、動作する被験者の体内の骨格や筋肉の様子も可視化することができるのです。これにより、今まで不可能であった人間の構造と機能、相互の連係メカニズムが解明されていくことでしょう」
高次元医用画像がめざす医療の未来
医用VR実験室と四次元動作計測室の2つの研究施設は、SGI のハイパフォーマンスグラフィックスシステム、Onyx 3400(InfiniteReality3TM、3Pipes)を基盤とする。また、研究所から出て手術室内で機動的に使うワークステーションとしてOctaneを採用している。
では、今回のシステム構築がどのような効果を生むのか。鈴木所長に今後の展望も含めてお話しいただいた。
「この研究設備が実現するリアルタイム・イメージングシステムは現在の研究設備であるとともに、いわば近未来の病院で使うであろう画像システムのモデルでもあるのです。このような技術が確立すれば、手術場のなかで患者の身体のなかを見ながら手術をするというようなことも普通の作業となるでしょう。これによりロボット手術もtele-surgeryも、もっと新しい形になってくると思います。これからの治療の可能性がリアルタイム・イメージングによってどんどん広がっていくことになります。また、リハビリテーションやスポーツ医学において、今まで不可能であった体内構造の動的な解析もどんどん臨床に活用されていくことでしょう」
高次元画像、医用VR技術が医療の変革につながっていく。リアルタイム・イメージングを活用した新しい医用技術の開発が、臨床の現場を大きく変えていくに違いない。