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お客様事例:
立命館大学映像学部

バーチャルリアリティシステムによって
次世代の映像プロデューサーの育成を目指す

2008年4月10日掲載

  京都の立命館大学は、2007年度より映像学部を新設。その次世代映像技術の教育と研究を支える拠点が、衣笠キャンパスに設置された「インタラクティブラボ」だ。ここには日本SGIのスケーラブル・ビジュアル・クラスタ「Asterism(アステリズム)」を核としたバーチャルリアリティ*1システムが構築されており、125度の視野角を持つ幅6.5mの巨大スクリーンによって、立体視可能なさまざまな最先端映像を映し出す。  立命館大学映像学部のビジョンにおけるインタラクティブラボの意義を、同学部副学部長の大島登志一教授に語っていただいた。

お客様概要
■お客様名 :立命館大学映像学部
■所在地 :〒603-8577 京都市北区等持院北町56番地の1
■URL  http://www.ritsumei.ac.jp/eizo/index.htm
■事業内容 :映像表現に対する芸術的、人文社会科学的な理解と、今後も急速に進展するデジタル映像技術や情報ネットワーク技術に対応できる能力を備え、 映像を文化的、産業的、地域振興的文脈において有益な社会的リソースとして利活用できる人材の育成を行っています。


導入の背景
技術も、アートも、ビジネスも、すべてを見渡せる人材を育成するために

立命館大学映像学部 教授
大島登志一

  京都は映像とは関わりの深い街だ。日本映画の黄金時代に、東映、松竹、大映、日活といった映画会社が撮影所を構えていた場所であり、現在も映画産業の一大拠点である。またDSやWii*2を擁する世界的なゲームメーカー、任天堂も、京都で創業し発展してきた。
 では何故今、立命館は映像学部を新設したのだろうか。ちなみに初年度の競争率はかなり高く、2007年4月に定員150名のところ168名の1回生を迎えた。また、文理融合ではあるが文系の学生の多いことも同学部の特徴だ。

「現在、映像コンテンツの業界では、人材が足りない、人材の育成が急務と言われており、経済産業省などでもいろいろな取り組みを行っています。ゲーム会社の方の話を聞くと、IT産業に人材が流れて、ゲームを開発できるプログラマが足りないと言われます。しかし、プログラムが書けるだけではゲームは作れませんし、多面的な教育が必要です。
 映像制作現場の人材を育てる教育機関として、専門学校が重要な役割を果たしていますが、立命館の映像学部では、大学としての視点から総合的な人材育成を考えています。我々の目的を一言で言えば『プロデューサーを育てたい』ということになります」

  立命館は総合大学であり、理系の画像処理やCGといったデジタル映像技術に加えて、京都の地場産業ともいえる映画業界との産学連携も可能だ。そういった同校の特徴、地の利を生かし、同学部ではデジタルツールや撮影機材を使いこなしつつ、コンテンツを統括的な立場で見ることのできるプロデューサーを育成しようとしている。企画やマネージメントの視点でクリエイターやオペレーターをジャッジできる立場の人材である。

「制作現場では、いろいろな経験を経てやっと一人前のプロデューサーになれるものですが、現場の経験を重視しながら、その基本を系統的に学ぼうというのが映像学部の取り組みです。技術も、アートも、ビジネスも理解し、すべてを見渡しながら、映画やゲームを作ることのできる人材です」

  Maya*3も使えるけれど、コンテンツの力を客観的に俯瞰できる人材が求められている、ということである。それは従来のプロデューサーや監督と何が異なるのだろうか。

「テクノロジーを教える立場で言うと、今、次々と新しい映像技術が生まれてきています。また今後も新技術は数年に一度とか、あるいはもう少し短いスパンで生まれてくるかも知れません。そんなときに、自分の仕事に新技術を活かすことのできる、鼻の利くプロデューサーでいてほしい。
  新しい技術への対応の仕方が分からず、その可能性を無視するようにはなってほしくない。新しい技術にはいつも敏感でいてほしい。その感覚を学生時代に身に付けてほしいわけです。また学生には、新技術が降ってくるのを待っているだけではなくて、理工系のセンスと知識を持って、より積極的にテクノロジーを開拓することにも関わっていってもらいたい」

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導入の目的
新しい映像コンテンツ制作のためのハードウェアとソフトウェアが必要

映像を投影する巨大なシリンドリカル・スクリーン

  映像学部が導入したバーチャルリアリティシステムのハードウェアは、日本SGIのスケーラブル・ビジュアル・クラスタ「Asterism(アステリズム)」をホストコンピュータとし、グラフィックスにNVIDIA社のQuadro(R) Plexを備え、立体視対応のDLPプロジェクター(Mirage S+6K)を3基駆動している。その映像は幅6.5メートル視野角125度の巨大シリンドリカル・スクリーンに投影される。この新しい映像体験は、学生たちにどのようなインパクトを与えるのだろうか。

「映画もゲームも毎日のように新しいコンテンツを投入していますが、たとえば任天堂のWiiに代表されるように、次に家庭に来る映像技術は、おそらくバーチャルリアリティ(VR)ではないかと思います。WiiのコントローラーはVRでいうところのWAND(ワンド)という装置が元になっていますし、WiiボードもVR出身で、体重移動でいろいろなインタラクションが行えるインターフェイスですね。現在はVRの世界からどんな技術が降りてきてもおかしくない状況だと思っています。HMD*4(Head Mounted Display;ヘッドマウントディスプレイ)が普及するかどうかは未知数ですが。
  こういった新しい体験ができるゲームや何らかの新しいタイプの映画、その接点が広視野のスクリーンにあると思います。コンピュータで作った映像を映し出せる広視野のスクリーンが、ゲームと映画の境界線上にあると見ています。家庭用テレビは、液晶やプラズマの普及によって画面サイズが大きくなってきています。そうすると、WiiのようなVR的ゲームが次にユーザーに促すのは、より広視野の没入的なディスプレイになってくるでしょう」

「インタラクティブな映画」とはどんなイメージなのだろう?

「インタラクティブな技術が応用されているのは今ゲームだけですが、任天堂が目をつけているコンテンツはゲームからどんどん拡大しています。そうすると、エデュテイメント、教育用途にも本格的に入ってくるでしょう。ゲームの概念はどんどん変わってきているので、いずれ「インタラクティブな映画」と呼んでもおかしくないコンテンツになっていくのではないか、と考えています。そこから先は学生にも考えてもらいましょう(笑)。
  そして本学部のインタラクティブラボには本格的な新しい道具が用意されています。学生にはそれを使いこなしてほしい。映画がやりたい学生や、ゲームを作りたい学生にも、最先端の設備として開放していきます。その上で私たち教員はさらに研究を続けます。ここは研究とコンテンツ作りのコラボレーションの場ですね」

  大島教授は誰よりも早く、近未来における人々と映像の関係性をイメージしている。だが壮大なビジョンの一方で、1年生のカリキュラムは、まずプログラムとは何か、など、基礎部分から地道に教えているという。その上で、先端にはどのような技術があるのかを啓蒙していく。文系の学生にも技術をどう伝えていけばいいのか。新しい学部ならではの試行錯誤の毎日ともいえる。

「センスやイマジネーションを持っている人たちが、専門的なスキル抜きで、自分たちの道具を使えるようになるにはどうしたらよいのか。専門的になりすぎずに新しい技術、道具を使うにはどうすればよいかは、われわれ映像学部教員の研究テーマでもあります」

  同学部では、映画系、ゲーム系、そしてVRに代表される先進的なインタラクティブCGなどのメディアのジャンル間で、素材やワークフローを共有する仕組みを検討しているという。CGモデルやソースコードといった素材だけでなく、シナリオやコンセプトなども共有できるような仕組みをアセットマネジメントツールで構築したり、また、ゲームコンテンツのプロトタイピングツールを使い、さまざまなタイプのインタラクティブコンテンツ制作カリキュラムを設計している。

「学生にありがちな個人趣味に留まるような作品ではなく、市場でも認められるレベルの本格的なコンテンツをここから生み出せればと思っています。
例えばゲームとVRの間でゲームエンジンあるいはシナリオを共有し、共通のコンテンツを軸に、VR側ではより体感的なインターフェイスをつけるといったコラボレーションを考えています」

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導入効果
実写、CG、インタラクティブによるミクストリアリティ時代は目前

バーチャルリアリティシステムの可能性を語る大島教授

  同学部のバーチャルリアリティシステムは2007年9月に導入されたばかりで、本格活用はこれからの段階だが、早くも導入効果は現れている。

「オープンキャンパスで学生やその父兄、あるいは他の教育機関のお客様が見学に来たときなどのデモ効果は非常に大きいです。特にVRを説明するには、百聞は一見にしかず、ですから。広視野スクリーンによるインタラクティブ映像をご覧になれば、この学部で目指す映像技術の未来像を理解していただけます」

  制作教育への活用と共に、大島教授らはMR(ミクストリアリティ)をベースに、さまざまな活用を考えているようだ。

「このシステムで実現したいことはいろいろあります。先ほど、広視野のスクリーンはゲームと映画の接点にあるとお話しましたが、映像学部のビジョンの象徴として、まずここに、リアルタイムに実写とCGを合成して映し出したいと。
  実写、CG、インタラクティブ。これらが没入性の高い表示システムと統合されるのが、次の時代に来る映像プラットフォームの一つであると予測しています。MR技術は私の専門ですが、映像学部の映画系・ゲーム系・映像文化系・ビジネス系各教員の協力と、日本SGIから技術面の協力をいただきながらカタチにしていきたいと思います」

  MRの応用技術として、産業用途では実写の風景の中にCGで作った自動車をリアルタイムで走らせるデザインレビューなどがある。テレビ放送で利用されるバーチャルスタジオはMRに近い技術だが、よりインタラクティブ性と没入性を重視した技術がMRである。

また、映像学部では日本SGIの可視化アプリケーションソフト「Design Central」も併せて導入している。

「このような世界的にもトップレベルにあるソフトウェアは、これまで主に産業用に開発されていますが、その技術は、今後エンターテイメントの分野でも活用されていくと考えています。生成画像のリアリティやクオリティの高いハイエンドソフトウェアを使用することで、近未来のゲーム環境におけるコンテンツ制作を疑似体験できると期待しています」

  最後に、導入したばかりではあるが、現時点でのバーチャルリアリティシステムに対する満足度をうかがった。

「いろいろなシステムを見てきましたが、今回のシステムはピカイチです。解像度も高いですし、スタートラインでの不満はありません。今後、教育と研究の両面から、日本SGIの技術支援をいただきながら、十二分に使い倒していきたい考えです」

  立命館映像学部のビジョンと、それを実現するためのバーチャルリアリティシステム。映像学部の学生たちは、他の大学では得られない経験を実践し、未来の名プロデューサーとして、社会に送り出されていくことだろう。

※ 大島教授は、日本SGIが寄附講座として協力する上智大学の公開講座「ビジュアリゼーション(科学技術における応用)I・II」(理工学部・公開学習センター主催)の2007年度秋学期においても講師をつとめられました。

注釈:

  1. バーチャルリアリティ:VR(Virtual Reality)。コンピュータによって仮想的に現実感のある世界を作り出す技術
  2. ミクストリアリティMR(Mixed Reality)。現実世界と仮想世界をインタラクティブに繋ぎ、融合された世界を作り出す技術。
  3. DS,Wii:任天堂が販売する家庭用ゲーム機
  4. Maya:Autodeskが販売する3Dコンピュータ・グラフィックス・ソフトウェア
  5. HMD:(Head Mounted Display;ヘッドマウントディスプレイ)。
※本事例の内容は2008年4月現在のものであり、変更されている可能性もありますのでご了承ください。  

 
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製品・技術情報
■ソリューション AsterismTM Family
■参考資料 pdf お客様導入事例カタログ ( 259K )

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