|
|||||||||||
|
お客様事例:
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||
都市空間におけるシミュレーション・システムの研究を発展
3次元地図アプリケーション開発キット「GEO-Element(R)」を基盤に
中央大学理工学部情報工学科システム解析・可視化研究室の牧野光則教授は、日本SGI の3次元地図アプリケーション開発キット「GEO-Element」を基盤に、都市空間におけるシミュレーション・システムを開発。独自の研究成果を詳細な地図データが整備されたGEO-Elementに実装することで、より直感的に研究成果を提示、把握できるようになった。
情報工学科の牧野光則教授(博士(工学))が率いるシステム解析・可視化研究室では、さまざまな事象や形状を 直感的かつ正しく理解するため、コンピュータ・グラフィックス(CG)技術を用いたビジュアライゼーション(可視化)手法の研究を進めている。これまで自動微分による適応的な画像生成手法の研究や電子社会における信頼性向上を目的とした可視化研究など多彩な研究活 動を展開してきたが、都市空間を対象とした可視化に日本SGI の3次元地図アプリケーション開発キット「GEO-Element」が有効ではないかと考え、いくつかのテーマ で活用を開始した。
「日本SGI からGEO-Elementを紹介いただいて、まずこれまで長年取り組んできた電磁波伝搬の解析手法をこれに実装することで、都市空間において詳細かつ直感的に電磁波の到達点を把握できるようになるのではないかと思いました」牧野教授の言葉だ。
携帯電話や無線LANなどで使われている電磁波が、都市部などの広い空間のどこまで到達しているのかを考察する「高周波電磁波の到達点の可視化」という研究は、これまで同研究室の多くの学生が関わり合ってきた主要な研究テーマ。この解析手法をGEO-Elementに対応させることで、電磁波の到達点を直感的に表示できる総合システムに発展できるというのが、GEO-Element導入のきっかけになった。
「そこでまず、3次元GISを利用した高周波電磁波の到達点の可視化というテーマに取り組んだのです。その後、都市における歩行者を対象に周囲の情報把握を容易にするビューアの研究にも応用できるのではないかと考え、今ではこの2つのテーマを中心に研究に取り組んでいます」
牧野教授のこの言葉にもあるように、GEO-Elementの活用範囲はその後さらに拡大した。2つ目のテーマとして浮上した「ビル街における歩行者のための3次元地図 ビューア」だ。目的地を定めずに都市を散策する歩行者に対し、実際にはビルに遮られて周囲が見渡せない状況であっても、可視化手法でそのビルを半透明化するなどして周囲の状況把握を容易にするシステムである。
都市空間を自作するには多大な時間とコストがかかると躊躇しているとき、GEO-Elementに出会った。GEO-Elementであれば地図データとして提供されているオブジェクトIDやライブラリ関数を利用し、高速に表示することが可能。そう判断して、同研究もGEO-Element上で展開することにした。
最初にGEO-Elementの活用が進んだのは、複雑な高周波電磁波の到達点の可視化。ここで対象とするのは無線LANやPHSなどギガヘルツ以上の周波数を使うような無線システムである。事業所や家庭内の無線LANなど、比較的近距離を飛び交う電磁波が対象となる。
「こうした無線システムでは、利用者はどこまで電波が飛んでいるかを知りたいものです。その一方、無線システムの管理者は信頼性や安全性確保という観点から予想もしないところに電波が届いていることを心配します。利便性を高めることとセキュリティを守るというのは裏腹な問題ですが、電波がどこまで届いているかをだいたいでもいいから知りたいというのは多くの人の願いでもあるのです」
電磁波伝搬の状況が分かれば、利用者はさらにアンテナを増設したり、管理者はガラスに電磁波吸収フィルムを貼ったりといった対策を講じることが可能となる。同研究室では以前からビーム・トレーシング法を利用した電磁波伝搬の解析手法を研究してきたが、それをGEO-Elementに実装することでビジュアルかつ対話的なシミュレーション・システムに発展できるというのが研究の目的だ。
同システムではまず、GEO-Elementが提示する都市空間上の任意の場所にアンテナを設置する。そのアンテナから放射される電磁波を幾何光と見なして、これを複数の光線(レイ)として近似。つぎに、隣接するレイ3本を稜線とする多面体(ビーム)を構成、ビームデータを作成する。
![]() |
| 赤丸が電磁波発生点。黄色のドットが電磁波伝搬の様子(色が濃い緑になるにつれて弱くなっていくことを表す) |
「いわばレイ3本による三角錐を発生させ、それが電磁波として建物にぶつかって反射したり吸収されたり、また反射して重なり合ったりという状態を解析するわけです。GEO-Elementが持つ数百種類のオブジェクトの材質属性を考慮し、たとえばコンクリートのビルでは電磁波が反射し、木造の家屋では電磁波の大部分が透過するというように比誘電率を設定して計算するのです」
続いて、GEO-Elementに表示するために、そのビームデータからボリュームデータを作成。アンテナからどの位置に対してどの程度のエネルギーが発生するかを計算し、それをGEO-Elementに改めて実装し、都市空間に色分けした立方体で表示するという仕組みだ。
「GEO-ElementのWalk eye Map(R)でシミュレーションを行うと、黄色いところは電波が強く、暗いところは弱いということが瞬時に分かります。 当然のようにアンテナのそばは電波が強く、それが道に沿って広がっていきます。また、建物の裏側には電波が来ていないというようなこともすぐ分かります。電波の状況は天気や車が通っただけでも敏感に変化するので、広大な3次元都市空間の至るところで厳密に計測することは現実的とはいえません。しかしだいたいの状況が把握できれば利用者の利便性を高めたり、管理者がセキュリティを確保したりすることを支援できると考えています」
同研究室がつぎに
GEO-Elementを利用 して取り組んだ研究 が「ビル街における 歩行者のための3次 元地図ビューア」。 特に都市部を歩行する人のために、現在地から周囲の状況をスムーズに把握できるようにするシステムである。
「歩行者は行き先を明確に定めているわけではなく、時として目に入ってくる情報から行き先を決めることがあります。そのため、目の前のビルが何かというよりは、2ブロック、3ブロック先の角を曲がったところに何があるかという情報が重要だろうと考えたわけです。歩行者は、その情報を元にその都度自分の行き先を決めていく。それを支援するためにどのような表示をしたらよいかというのが研究のテーマでした」
そこで研究室が出した解決策は、ビルの半透明化と縮小化(2次元化)だった。GEO-Elementが提供しているビルのオブジェクトのサイズや表示方法に変更を加えることで可能になる。GEO-Elementに歩行者の位置情報を与え、それに対して自作のプログラムで該当するビルのデータを抽出し、これに対して半透明化したり縮小したりするというものだ。
市場には歩行者ナビゲーション・システムと呼ばれるものがあるが、これは最初から行き先が決まっていて、その目的地へのルートを表示するもの。目的地に対して周囲の情報を消していくという手法を取っている。これに対して、同研究室で行っているのは、周囲に何があるかを分かりやすく伝えるというものである。GEO-Elementの電子データとライブラリに研究室の考え方を組み合わせ、ビルを縮小化して屋上だけの2次元表示にすればその先にどのようなビルがあるかが分かる。
「一般論としてコンピュータでは、目的がはっきりしていればそれに対してプログラムを組んで解決することは比較的容易です。しかし、明確な意思を持たない状態の人間を支援するというのは難しい。これはそのように、きわめて曖昧な状態でいる人の行動をどのように支援するのかというものです。エージェントという、人の動向を観察してそこから何かアクションを起こすというシステムが検討されていますが、それにつながる研究だと思っています」
| 使用製品 | |
| 関連情報 | |
本記事の内容および使用写真は、関係者、所有者の承認を得て編集、公開をしています。
日本SGI 株式会社Webサイトのご利用条件をご覧下さい。
2005年9月27日掲載
![]()
| 個人情報保護について | ご利用条件 | お問い合わせ窓口 |
| (c) 1995-2008 SGI Japan,Ltd All rights reserved. |