1999年は、おそらく、映画が真にデジタル化へ向かった元年として思い出されることでしょう。つまり、映画製作会社がイメージすることのできるすべてをスクリーンに映し出すことができるようになった最初の年だからです。
今年のアカデミー賞(映画芸術科学アカデミー)では、憧れのオスカーを競う3つの特撮映画を選出するのに大変な苦労をした年に違いありません。最終的に、アカデミーをうならせたのは、仰天させるほどの画像を見せた「スター・ウォーズ:エピソード1/ファントム・メナス」、フォトリアリスティックにネズミを描いた「スチュアート・リトル」、そして、“ブレット・タイム”で撮影されたシーケンスの「マトリックス」です。これらの3つの映画はすべて、SGIのハードウェアを使用して製作され、デジタル・ツールが確実に成熟期に達したことを如実に示しています。
「スター・ウォーズ:エピソード1/ファントム・メナス」のシーン、すなわち、空中戦、地上戦、コンピュータで製作されたキャラクタやデジタル・セットのどれもが、従来の特撮映画を十分圧倒するショットを表現しています。それらは、互いに組み合わさって、比類ない映像表現を作り上げています。
特殊効果は非常によくできているため、デジタルで製作していない200〜300ショットを見つけるほうが、デジタルで製作した2000以上のショットを見つけるよりも容易かも知れないというほどです。当初よりの最大の課題は、この巨大なプロジェクトをどのように予定通りかつ予算通りに仕上げるかを見極めることでした。同プロジェクトの3人のビジュアル・エフェクト・スーパバイザのうちの一人であるDennis Muren氏は、次のように語っています。「人々を燃え尽きる前に、完成させたかったのです」。
壮大な規模を誇る同映画の企画は、世界で最も才能あるビジュアル・エフェク ト・アーティスト達の中から、さらに選りすぐれたアーティストが必要でした。 同映画のビジュアル・エフェクト・アーティストは、Softimage(R) 3D、Alias|Wavefront Maya、Pixar RendermanといったCGツールを、製作に使用するSilicon Graphics(R) ワークステーション上で極限まで使い込みました。「スター・ウォーズ:エピソード1/ファントム・メナス」の映像製作は、2年半にわたり、Industrial Light + Magicのエフェクト担当アーティストとSGIのハードウェアおよびカスタム・ソフトウェアを誰もが想像できる限界を超えて酷使するという苦しい体験でした。
一方、エピソード1に出演する手足をぶらぶら下げたJar Jar Binks、太ったGungunのリーダのBoss Nass、羽のついたWatto、高く足をあげて行進する戦闘ロボットの軍隊よりも、生身の俳優はネズミを恐れるだけの理由がありました。
Stuart Littleが年末に登場して視聴者にアピールしたことは、デジタル・キャラクタがとても小さなパッケージとすることができるということでした。
Stuart Littleのキャラクタを製作するために、ビジュアル・エフェクト担当の上級スーパバイザのJohn Dykstra氏は、Sony Pictures Imageworksのビジュアル・エフェクト・スーパバイザのJerome Chen氏、アニメーション・スーパバイザのHenry Anderson氏、そして数多くのデジタル・アーティスト達とともに、Silicon Graphicsのワークステーションを徹底的に使い込んで、元気のいいネズミに生命だけでなく、個性までも授けました。Imageworksのアニメータは、濡れたときにリアルに固まるスチュアートの毛や、周囲の環境が映り込んだ目、そして本物のネズミに普通に着せた衣服よりも幾分もっともらしくまとった様子を表現することに成功しました。しかし、それらは同映画が空想であるという状況の中で、まさに功を奏しました。これは、同社がこれまで取り組んだ中で最も骨の折れる課題の一つでした。Dykstra氏は、「ネズミを訓練して喋らせたり、服を着させたりすることができるということを信じる必要がありました。それこそが、アイデアの全てです。私の見方では、個性を持ったキャラクタ、つまり映画の中心となる真の主役であるキャラクタの製作は、実際にはまだ例のない試みでした。そのため、スチュアート・リトルでの課題は、おそらく、物語を述べることがより重要であり、技巧にこだわることはそれほど重要ではないということでした」と述べています。
マトリックスでの挑戦は、また別の限界に挑んだもので、通常の製作技術では映
像化が不可能な超高速の戦闘シーケンスを製作することでした。マネックのバーチャル・エフェクトでは、多数設置されたSilicon Graphicsワークステーションとスーパーコンピュータを駆使して、一連のスチル写真をネオ(リーブス)とエージェント(マトリックス・ポリス)のドキッとさせるような戦闘シーケンスに変換しました。ビジュアル・エフェクト・スーパバイザのJohn Gaeta氏は、120台のCanon EOS-A2スチル・カメラをずらりと並べて、調整可能な棒に固定し、連射で撮影してグリーンスクリーンに対するスタントをキャプチャする“Flomo rig"を考案しました。フィルム製作を進める時には、スチル画像を順番に継ぎ合わせて、まとめてスキャニングし、Kodak Cineonファイルに保存しました。ここで、保存された画像は、マネックのSilicon Graphics Octane(R)、Silicon Graphics Onyx2(R)、 Silicon Graphics O2(R)マシンで後処理することができました。
マネックでは、グリーンスクリーンに対して実現不可能なスタントをいったん“映像化”すると、スタント場面のバーチャル・リアリティ環境のための、SGIのハードディスクの容量を測定しなければなりませんでした。課題は、高速なスタント・アクションとマッチ・ムービングした移動するフォトリアリスティックなバックグランド・プレートを製作することでした。バーチャル映画撮影技術と称するこの技術では、わずかな枚数のスチル写真だけからバーチャルなセットを作り、それらをマネックのSGIワークステーション上で合成して作られたカメラの動きによって“映像化”しました。“Flomo rig"からの画像と同様に、セット上で撮られたスチル写真は、スキャニングされ、10ビットのログCineonファイルに記録されました。しかし、類似するのはそこまでです。「我々はテクスチャ・マッピングの投影やレーザ計測手法などのフォトグラムを試すテクニックを使用して写真画像から物体の形状を取り出しました」とGaeta氏は語ります。
最終的にマネックは、リーブスとその敵を取り巻く信じられないほどの可動カメラによって、銃の連射の中で、彼等が、超スローモーションで螺旋状に空中を動くなどの効果を生み出しました。
SGIの機器によって、本年度の特殊視覚効果賞のオスカー候補者達は、イメージするすべてを視聴者に見せることができただけでなく、最終的には自分自身がリアリティとは何かを問いかけることになりました。
マトリックスが第72回アカデミー特殊視覚効果賞を受賞
John GeataとMVFXが相次ぐアカデミー賞の受賞を祝う
特殊視覚効果賞候補の舞台裏
本年度のアカデミー賞特殊視覚効果賞の受賞者の決定は、極めて困難な作業だったに違いありません。それは、次に示すように撮影効果の分野ではいずれ劣らぬ候補者が揃ったからです。
| 受賞候補映画 | SGIの顧客 | 受賞候補個人 |
| スター・ウォーズ: Episode 1/ァントム・メナス | Industrial Light + Magic | John Knoll, Denis Muren, Scott Squires, and Rob Coleman |
| スチュアート・リトル | Sony Pictures Imageworks | John Dykstra, Jerome Chan, Henry F. Anderson III, and Eric Allard |
| マトリックス | MVFX (Manex Visual Effects) | John Gaeta, Janek Sirrs, Steve Courtley, and John Thum |
| オスカーおよびアカデミー賞は、映画芸術科学アカデミー(Academy of Motion Picture Arts and Sciences)の登録商標です。 | |
| 写真クレジット
Star Wars images: (C)1999 LUCASFILM LTD &TM ALL RIGHTS RESERVED 写真提供はIndustrial Light +Magicによります。 MVFX images: (C)2000 MVFX a division of Manex Entertainment Stuart Little image: Sony Pictures Imageworks (C)2000 Columbia Pictures Industries,Inc. |
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