| 日本SGI が去る6月28日に開催した「SiliconLIVE!フォーラム2006」については、これまで3回にわたってSession 1「コンテンツが主役の時代 企業自らがコンテンツを発信する時代へ」とSession 2で行われたヨーロッパ最新事例の紹介をレポート
してきました。今回はこれに続き、Session 2「「放送と通信の連携が一気に加速する、コンテンツが主役の時代 キーワードはグローバル、フルデジタル、HD」の中で行われたパネルディスカッションの内容をご報告します。 |
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パネルディスカッション「日本の『放送・通信の連携』が目指すビジョンとは」 |
| ■放送と通信の連携にNHKは? |
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| 月刊NewMedia 編集長 吉井 勇様 |
Session 2では、月刊「NewMedia」編集長の吉井勇氏をコーディネータとして迎えたパネルディスカッションが行われました。「日本の『放送・通信の連携』が目指すビジョンとは」とのテーマで、ソニーマーケティング株式会社 執行役員 林和義氏、日本放送協会 総合企画室〔デジタル放送推進〕統括担当部長の土屋円氏、クラビット株式会社 代表取締役社長(CEO)の橋本太郎氏、株式会社インデックス メディア・ソリューション局担当取締役 大森洋三氏、そして日本SGI の執行役員 第二事業本部 本部長 日浦武仁が参加しました。
冒頭、コーディネータの吉井氏は、昭和4年(1929年)1月にJOAK(現NHK)が発行した「子供のテキスト」の挿し絵を紹介。テレビの父といわれる高柳健次郎が画面に「イ」という文字を表示した1926年からわずか3年後に描かれたこの絵について「この絵のテレビは薄型テレビであり、画面にはアメリカンフットボールの映像の絵が描いてあります。この絵のような斬新な意見をこのパネルディスカッションで伺いたい」と述べ、テーマとして(1)放送と通信の連携を巡る上で注目していること、(2)テレビ視聴はどう変わるか、(3)免許制度について、(4)放送局が投資すべき技術とは、の4つを掲げました。
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日本放送協会 総合企画室
〔デジタル放送推進〕統括担当部長
土屋 円様 |
口火をきったのはNHKの土屋氏です。氏は「NHKは放送法上、放送の補完業務としてインターネット業務に取り組む必要があり、著作権処理や加工に多くのコストを要するような映像によるコンテンツ提供、本格的高速ネットワークを活用した高画質、高音質による放送コンテンツの提供、広範・詳細にわたるデータベース事業などは禁じられています」とNHKの立場を説明し、「ネット流通に関する著作権などの了解やNHKの業務範囲が課題になっています。コンテンツを自由に提供するサーバやネットワーク環境を整えて個別の視聴者の方のニーズに応えるには、コストがかかりすぎるという状況があります。受信料だけで事業を展開するという現在のNHKの組織には限界があります」とその厳しい立場を説明、理解を求めました。 |
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| ■インフラ共有と端末共有の時代 |
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クラビット株式会社
代表取締役社長(CEO)
橋本 太郎様 |
これに対し、メディア・コンテンツ事業を中心とするクラビットの橋本氏は、「インフラ共有と端末共有の時代」という話題を提起。
「日本には電気通信役務利用放送法という法律があり、IPマルチ放送は放送法上の放送であっても、著作権上の放送ではないという議論がありました。しかし現在、ようやくIPマルチ放送も放送であると認められ、通信インフラの上で帯域を占有する形で放送波を流すことが技術的にできるようになりました。これでインフラの共有ができるようになったというのがひとつのポイントです。
もうひとつ放送と通信の融合を巡る動きとして、この4月から始まったワンセグのサービスがあります。このワンセグ放送によって、液晶画面付き機器のすべてがテレビになってしまいました。これまでのテレビは1家庭あたり1〜2台のテレビがあったという統計がありますが、それが一挙に8台ほどになり、端末の共有化という現象が出現しました。そして、そこに通信が付加され、テレビが普及することで通信のインフラが拡大することになります」
この端末の共有がこれから大きな変化をもたらすという指摘に対し、携帯事業の分野からインデックスの大森氏は次のように発言。
「今回のW杯は放送と通信という面からも大きな試みを行っています。W杯はひとつのコンテンツを世界中に流すものですが、今回は50カ国にIPでの放送が行われています。PCや携帯、またPSPでもW杯の配信が行われています」
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株式会社インデックス
メディア・ソリューション局担当取締役
大森 洋三様 |
大森氏は続けて、PCでのW杯IP放送の模様をデモで示しました。ヤフーのworldcup.comへのアクセスは2日間で1億1,000万を超えたといわれています。
デモを示した後、大森氏はさらに携帯電話の3.5世代から4世代に移行することによって動画の世界が広がっていくと予測しました。
「携帯電話は第3世代から、3.5世代、そして2011年ごろに第4世代に移行するといわれています。その3世代から3.5世代への移行はISDNからADSLへの移行のようなもので、それによってインターネットでは文字のコンテンツから動画を見るようになってきました。同様に、3世代から3.5世代への移行で動画の要求が加えられると見ています。放送の世界でも2011年はアナログからデジタルへ完全移行するタイミングであり、2011年は放送、通信の両面で変化が起きるタイミングになると考えています」 |
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| ■Web 2.0が放送と通信の連携に及ぼす影響は? |
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ソニーマーケティング株式会社
執行役員 林 和義様 |
続いて発言したソニーの林氏は、現在の放送と通信の連携への動きに、Web 2.0に象徴される新しい波が押し寄せていると指摘しました。
「Web 2.0の時代ではインテルでもマイクロソフトでもなく、アマゾンやグーグルが支配する時代になるといわれています。こうした流れの中で、『テレビ局はニュースビデオ素材の会社へ』、そして『テレビの視聴スタイルが変わる』という流れがあります。
現在、日本国民の90%は放送と通信の融合は関係ないと思っているという統計があります。しかしその一方で、視聴者に対してはいろいろなコンテンツを見られる環境が整ってきます。そこにグーグルに代表される新たなサービス・モデルが出てくることが考えられます」
そして林氏は「グーグルには32万台のコンピュータが裏で動いているといわれていますが、こうなるとプラットフォームはすべてアメリカに取られてしまうという危惧が出てきます。こうした問題を、コンテンツを作る人たちとディスカッションして、日本としてどのような取り組みを進めたらよいのかを議論をしたい」と問題提起。
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日本SGI 株式会社 執行役員
第二事業本部 本部長 日浦 武仁 |
最後にコメントした日本SGI の日浦は「HD化により、ネットを流れる情報が膨大になります。これに対して、IT側でどうするかがポイントになると思っていますが、日本SGI はすでにコンテンツが主役の時代に『SiliconLIVE!』を提唱し、すでに自動車会社や住宅販売会社で具体的な実績を持っています」として、放送と通信の連携に対してIT側からの役割が注目されていくだろうという見方を示しました。
続いて、ランダムなディスカッションに入り、まず吉井氏が、橋本氏が提起した「端末の共有」に対し、「コンテンツは50インチの大型ディスプレイで見るのも携帯の画面で見るのも同じか」という問題を提起。NHKの土屋氏は「調査によると、ビッグイベントはハイビジョンでというデータがある。総合とBShiを比較すると、W杯やオリンピックのようなビッグイベントは大画面で、みんなで見るという意欲が強い」というデータを報告。
また、地方局がキー局からコンテンツの供給を受けている現実にどう対応するかという問題に対しては、「ローカル・オリジナルのコンテンツを作り、全国にどう展開するかがポイント」(橋本氏)など、コンテンツの重要性が改めて訴えられました。
パネルディスカッションでは予定の1時間30分を大幅に上回る熱心な討議が行われましたが、最後にコーディネータの吉井氏がディスカッションの冒頭に示した1929年の挿し絵を再度示し、「このテレビの画面に、まだ当時は多くの人が見たことのないアメリカンフットボールが出ているのは、やはりコンテンツが重要ということを示している」とコメント。「コンテンツが主役の時代」を改めてアピールしてパネルディスカッションは終了しました。 |
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